概要
ロードバイクで峠を下るときにどのようなフォームで下るのが良いのか調べていると、
「リーン・アウトが良い」という主張や「リーン・ウィズ」が良いという主張があったりするので何が良いか調べてみました。
コーナリングフォームの種類と特徴
まずは、ドライな路面での基本的な考え方です。
1. リーンウィズ (Lean With) – 基本のフォーム
- フォーム: バイクの傾き(バンク角)と、乗り手の体の傾きが同じになるフォームです。バイクと体が一本の棒のようになった状態をイメージしてください。
- 特徴:
- 最も自然で基本的なフォームです。
- バイクとの一体感があり、タイヤのグリップ状況を感じやすいというメリットがあります。
- 安定性が高く、挙動が素直です。
- 使うべき状況:
- あらゆる速度域、コーナーで基本となるフォームです。まずはこのフォームを確実にマスターすることが上達への近道です。
- 特に中速域の一般的なコーナーでは、リーンウィズが最も効率的で安全です。
2. リーンイン (Lean In) – より速く曲がるためのフォーム
- フォーム: バイクの傾きよりも、乗り手の体をコーナーの内側に大きく入れるフォームです。ハングオンとも呼ばれます。
- 特徴:
- 体を内側に入れることで重心が内側に移動するため、同じコーナーを曲がる場合でも、バイク本体の傾きを浅くすることができます。
- バイクが起きることで、タイヤの接地面が広くなり、グリップ力を高める効果が期待できます。
- 使うべき状況:
- 高速コーナーを、より速いスピードで駆け抜けたい場合。
- レースなど、コンマ1秒を争うような状況。
- 注意点:
- 体を大きく動かすため、慣れないとバイクの挙動が不安定になる可能性があります。
- 視線が下がりがちになり、コーナーの先を見渡しにくくなることがあります。
3. リーンアウト (Lean Out) – 安全性と安定性を重視するフォーム
- フォーム: 乗り手の体は比較的垂直に近い状態を保ち、バイクだけをコーナーの内側に傾けるフォームです。
- 特徴:
- 外側のペダルにしっかりと体重を乗せ、ハンドルを押し出すようにして曲がります。
- 重心の位置が高く保たれるため、バランスが取りやすいです。
- 万が一タイヤが滑った際に、体でバランスを取ってリカバリーしやすいという大きなメリットがあります。
- 使うべき状況:
- 低速でのタイトなコーナー(ヘアピンカーブなど)。
- 路面状況が悪い、砂が浮いているなど、滑りやすい可能性がある場所。
- 素早い切り返しが必要なS字コーナー。
路面がウェットのときはどうする?
結論から言うと、ウェットコンディションでは「リーンアウト」が最も安全で推奨されるフォームです。
- 理由:
- ウェット路面はドライ路面に比べて著しく滑りやすいため、バイクを深く傾ける(バンクさせる)こと自体が非常に危険です。
- リーンアウトは、体を起こしたままバイクだけを傾けるため、バイクの傾きを最小限に抑えつつ曲がることができます。
- タイヤが滑り始めたとしても、体を起こしているためバランスを取りやすく、立て直せる可能性が高まります。
リーンウィズで曲がる場合でも、ドライの時よりもずっと手前から十分に減速し、バイクの傾きを浅くして、ゆっくりと曲がることを徹底してください。ウェット路面でのリーンインは、リスクが高いため避けるべきです。
一覧表
フォーム | メリット | デメリット | 主な使用状況(ドライ) | 主な使用状況(ウェット) |
リーンウィズ | ・基本的で安定的・挙動が自然 | (特になし) | 全ての基本中速コーナー | 傾きを浅く、慎重に |
リーンイン | ・バイクを立ててグリップを稼げる・高速で曲がれる | ・慣れないと不安定・視線が下がりがち | 高速コーナー | 非推奨 |
リーンアウト | ・バランスが取りやすい・滑ってもリカバリーしやすい | ・高速走行には不向き | 低速のタイトコーナー荒れた路面 | 最も推奨 |
まとめ
峠の下りでは、一つのコーナーの中でも状況が変化します。まずは安全な速度域で、基本の「リーンウィズ」をしっかりと身につけ、そこからコーナーのRや路面状況に応じて「リーンアウト」を試してみるのが良いでしょう。「リーンイン」は、クローズドコースなど安全が確保された環境で練習することをお勧めします。
何よりも、恐怖心を感じない速度で、リラックスして楽しむことが安全なライディングにつながります。
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