初めてのレース選び — 最初のレースでスプリントを選ばなかった理由

結論:迷うなら最初からODでもいい#

トライアスロンを始めようと思ったとき、最初にぶつかる壁が「どの距離のレースに出るか」という問題です。大きく分けると、初心者が選ぶのはスプリントディスタンスかオリンピックディスタンス(OD)のどちらかになります。

スプリントはスイム750m、バイク20km、ラン5km。ODはスイム1.5km、バイク40km、ラン10km。数字だけ見るとODはスプリントのちょうど2倍で、初心者にはスプリントの方が安全に思えます。実際、多くの入門記事が「まずはスプリントから」と書いています。距離の全体像はトライアスロンの距離にまとめました。

でも、私は最初からODを選びました。そしてその判断は正解だったと今でも思っています。

なぜ最初にODを選んだのか#

正直に言うと、最初は私もスプリントに出ようと思っていました。ところが、周りのトライアスロン経験者に相談したところ、口を揃えてこう言われたのです。

「スプリントはすぐ終わっちゃうよ。どうせ出るならODにしなよ。準備する手間は同じなんだから

この一言で、ODに切り替えました。そして実際にやってみて、このアドバイスは本当に正しかったと実感しています。

理由はシンプルです。準備の手間はスプリントもODもほぼ同じなのです。前日の荷物準備、会場への移動、トランジションエリアのセッティング、レース後の片付け。これらはどの距離でも変わりません。であれば、同じ手間をかけるなら長い方が「やった感」があります。

スプリントだと、スイム750mは緊張しているうちに終わります。バイク20kmも、信号のない道ならあっという間。ラン5kmに至っては、普段ジョギングしている人なら日常の延長です。「え、もう終わり?」という感想になりがちです。

一方、ODのスイム1.5kmは海で泳ぐとそれなりに長いです。バイク40kmは脚にきます。ラン10kmはバイクの後だと本当にきついです。この「きつさ」を味わってこそ、ゴールしたときの達成感があります。私がゴールゲートをくぐったときの感動は、スプリントでは味わえなかったと思います。

初心者に優しい大会の条件#

とはいえ、ODならどの大会でもいいわけではありません。初レースで選ぶべき大会には明確な条件があります。

1. コースが平坦であること#

バイクコースにヒルクライムが含まれる大会は初心者には厳しいです。ランコースも同様で、アップダウンが少ない方がペース配分しやすいです。大会要項のコースマップは必ず確認しましょう。

2. 制限時間が長いこと#

ODの制限時間は大会によって3時間から4時間半くらいまで幅があります。初心者なら4時間以上の制限時間がある大会を選びたいです。途中でパンク修理などのトラブルがあっても、制限時間に余裕があれば落ち着いて対処できます。

3. 会場アクセスが良いこと#

前日受付が必須の大会が多いので、宿泊が必要になる場合があります。初レースは遠征のストレスが少ない、自宅からアクセスしやすい大会がいいです。私の初レースは横浜トライアスロンでした。都心からアクセスしやすく、初めての大会としては安心感がありました。

4. 初心者向けブリーフィングがあること#

前日に競技説明会を開催してくれる大会は、ルールやコースの注意点を丁寧に教えてくれるので安心感が全然違います。

レース前日から当日の雰囲気#

初レースの前日は、なかなか寝つけませんでした。明日1.5kmも海で泳ぐのかと思うと不安で、荷物のチェックリストを何度も見直した記憶があります。

大会のトランジションエリア。ずらりと並んだバイクと選手たち。この独特の高揚感は、会場に着くと一気に伝わってくる

当日の朝、会場に着くと空気が変わりました。トライアスロンには独特の文化があります。ベテランが初心者に優しいのです。レース中も、沿道の応援はもちろん、コース上で抜いていく選手が「ファイト!」と声をかけてくれます。マラソン大会とはまた違う温かさがあります。

ただ、スイムのスタートは想像以上でした。スタート直後、周りの選手との接触(バトル)で思うように息継ぎができず、恐怖から息を吐き切れなくなって過呼吸気味になりました。そこでペースを大きく落とし、水中でしっかり息を吐くことに集中して、なんとか立て直しました(この話はOWSが怖い人へに詳しく書きました)。初OWSは誰でも苦戦します。落ち着いて対処すれば大丈夫です。

最終的に、初レースの横浜は 総合タイム2時間35分32秒 で完走できました。ランで1周多く走ってしまうという初歩的なミスもありましたが(初レースの目標設定に詳細)、それも含めて「初レースとはこういうもの」です。ゴールしたときの「きつかったけど最高に気持ちよかった」という感覚は、ODだからこそ味わえたものだと確信しています。

レース選びで見落としがちなポイント#

距離以外にも、初心者が見落としがちなポイントがあります。

水温とウェットスーツ#

大会によってはウェットスーツ着用必須の水温だったり、逆にウェットスーツ禁止になるほど水温が高い場合もあります。初心者はウェットスーツを着た方が浮力が得られて楽なので、ウェットスーツ着用可能な時期の大会を選ぶのが無難です(ウェットスーツの選び方)。最初の1着は既製品で十分です。

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ドラフティングルール#

バイクパートで前の選手の後ろにぴったりつく「ドラフティング」は、多くの大会で禁止されています。知らずにやるとペナルティを食らいます。初心者ブリーフィングでしっかり説明を聞いておきましょう。

エントリー時期#

人気大会は募集開始から数時間で定員に達することがあります。エントリー開始日をうっかり逃すと、気づいたときには満員ということも。カレンダーにリマインダーを設定しておくことを強くおすすめします。

よくある質問#

Q. 泳力に不安があってもODで大丈夫?

25mを止まらずに泳げて、12週間ほど練習できるなら、ODのスイム1.5kmは完走できます。不安なら、ウェットスーツ着用可の大会を選べば浮力が助けてくれます。それでも不安が大きい人は、無理せずスプリントから始めても全く問題ありません。

Q. スプリントとOD、本当にどちらでもいい?

はい。大事なのは「完走して楽しいと思えること」です。私はODを勧められて出て良かったと思っていますが、体力や泳力に不安があるならスプリントから始めるのも立派な選択です。自分が安心して臨める距離を選んでください。

Q. 初心者はどの季節の大会がいい?

水温が安定する初夏〜秋がおすすめです。ウェットスーツ着用可の時期で、寒すぎず暑すぎない大会を選ぶと、コンディション面のリスクが下がります。真夏の酷暑大会は熱中症リスクがあるので、初レースには避けた方が無難です。

Q. 1人で出ても大丈夫?

大丈夫です。会場ではベテランが気さくに声をかけてくれますし、1人参加の人も大勢います。むしろ自分のペースで準備できるので、初レースは1人参加でも問題ありません。

まとめ#

  • スプリントとODで準備の手間はほぼ同じ。「どうせ出るならOD」というアドバイスは的を射ている
  • ただし泳力や体力に不安があるならスプリントから始めても全く問題ない。完走して楽しめることが最優先
  • 初心者に優しい大会の条件は「平坦コース」「制限時間4時間以上」「アクセスが良い」「初心者ブリーフィングあり」の4つ
  • トライアスロンの会場はベテランが初心者に優しい温かい文化がある。1人参加でも緊張しすぎなくて大丈夫
  • ウェットスーツ着用可能な大会を選ぶと、スイムの安心感が大きく変わる。人気大会のエントリーは早めに
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