運動未経験でもトライアスロンはできるのか
結論から言うと、できる
「トライアスロンって超人がやるスポーツでしょ?」と言われることがあります。鉄人レースという呼び名のせいか、一般の人には無縁のものだと思われがちです。でも、結論から言うと、運動未経験でもトライアスロンは完走できます。
もちろん、来月出てください、と言っているわけではありません。相応の準備期間は必要です。ただ、スタートラインに立つためのハードルは、多くの人が想像するよりずっと低いです。
何を隠そう、私自身がその実例です。この記事では、現実的な体力の目安と準備の進め方を書いていきます。
私自身、運動歴ゼロから4か月で完走した
説得力を持たせるために、まず自分の話をします。私はトライアスロンを始める前、まともな運動歴がありませんでした。学生時代に運動部に所属したこともなく、いわゆる「運動できる人」ではありませんでした。
そんな私が、2014年に練習を始めて、わずか4か月後にショート(オリンピックディスタンス)を完走しました。下は、その初レース(横浜トライアスロン2014)の公式リザルトです。

タイムは総合2時間35分32秒で、決して速くはありません。これはランのコースで1周多く走ってしまったから。周回数を勘違いするという初歩的なミスです。正しい距離なら、おそらく2時間20分くらいだったと思います。ついでに白状すると、GPS時計を持っていき忘れたのでこのレースの計測データは残っていません…。初レースはこういう小さな失敗の連続でしたが、それでも制限時間内にちゃんとゴールできたのです。詳しい練習メニューは初レースまで12週間のトレーニングプランに書きました。運動歴ゼロの人間が4か月でこれだけできるのですから、「自分には無理」と決めつける必要はまったくありません。
完走に必要な体力の目安
オリンピックディスタンス(スイム1.5km、バイク40km、ラン10km)を完走するために、最低限どのくらいの体力が必要かを具体的に示します。
スイム: 25mプールで休みなしに泳げますか? これが最初の基準です。25m泳げない人はまずそこからですが、25m泳げる人なら1.5kmまで伸ばすことは十分可能です。ただし、プールと海は全く別物だということは覚えておいてください。海では波がありますし、足がつかない恐怖があります。プールで500m連続で泳げるようになったら、一度オープンウォータースイム(OWS)の練習会に参加してみるといいです。
バイク: ママチャリでもいいので、30分間止まらずに漕げますか? ロードバイクはママチャリより格段に楽なので、ママチャリで30分いけるなら全く問題ありません。バイクは3種目の中で最も体力差が出にくく、機材の力で補える部分が大きい種目です。
ラン: 5km走れますか? 歩かずに5km走れるなら、バイクの後に10km走るのは現実的な目標です。最初は5kmさえきつくても、3か月もあれば多くの人が走れるようになります。バイク後のランは脚が重いですが、ペースを落とせばなんとかなります。
まとめると、「25m泳げて、30分自転車に乗れて、5km走れる」。これが出発点の目安です。今この3つ全部できなくても問題ありません。できるようにしていけばいいだけの話です。
3種目のうちどれから始めるべきか
個人的には、スイムが最優先だと断言します。理由は3つあります。
第一に、スイムは独学だと上達しにくいことです。ランやバイクは見よう見まねでもそれなりに形になりますが、水泳のフォームは自分では確認できません。水の中では感覚と実際の動きがかけ離れていることが多いです。
第二に、スイムは安全に関わることです。バイクやランで遅くても命に別状はありませんが、海で泳げなくなったら命に関わります。だからこそ、しっかりとした技術を身につけておく必要があります。
第三に、スイムの上達には時間がかかることです。週1回の練習でも、まともなフォームで1.5km泳げるようになるには半年以上かかることが珍しくありません。ランやバイクはそこまで時間はかかりません。
水泳だけはスクールに通った方がいい、これは声を大にして言いたいです。独学だと変なクセがつきますし、そのクセを直すのにまた時間がかかります。まずはフォームを教えてもらうことをおすすめします。
これは私自身の経験からの実感です。最初は50mを連続で泳ぐのがやっとという状態からのスタートでした。でも、スイムは体力よりスキルの要素が大きい種目です。泳ぎ方をきちんと教えてもらったら、見違えるほど楽に泳げるようになりました。その結果、始めてから7か月後には湘南OWS 10kmを完泳できるまで上達しました。50mで息切れしていた人間が、です。正しいフォームを教われば、上達の伸びしろは想像以上に大きいということです。
私の場合は、スイムと、バイク・ランのグループレッスンに通っていました。月あたりトータルで2.5万円ほど、週4回ほどのペースです。グループレッスンの良いところは、(1) 自分で練習メニューを考えなくて済む、(2) コーチや仲間からいろいろ教えてもらえる、(3) 変なクセがつく前に正しいフォームを身につけられる、の3点です。独学でクセがついてから直すより、最初から正しく習った方が結局は近道でした。

スクールに通うにしても、まずはゴーグルなど最低限の道具は必要です。曇りにくく顔にフィットするゴーグルが1つあるだけで、練習の快適さが大きく変わります。

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具体的な練習の進め方は初レースまで12週間のトレーニングプランにまとめたので、あわせて読んでみてください。
何か月あれば初レースに出られるか
人によって大きく異なりますが、目安を示します。
- 最短6か月(運動経験がある程度ある人): ランニングの経験があり、泳ぎもそこそこできる人なら、半年あればODに出られます。バイクは購入してから慣れるまでに1〜2か月あれば十分です。
- 理想は1年(運動経験が少ない人): スイムの上達に時間がかかることを考えると、1年の準備期間を見ておくのが現実的です。焦ってケガをするリスクも減ります。
- 1年半(運動未経験の人): ゼロから始める場合は、1年半くらいかけてゆっくり準備するのがいいでしょう。急がば回れです。
大事なのは、「初レースまでに完璧な状態にならなくてもいい」ということ。制限時間内に完走できる体力があれば十分です。速さは後からついてきます。私自身、初レースのスイムでは過呼吸になって本当に苦しい思いをしましたが、それでも完走できました(その失敗談は初レースまで12週間のトレーニングプランに書きました)。
練習を始めるにあたっての注意点
いくつか、初心者が陥りがちな落とし穴を書いておきます。
いきなり3種目を始めない。まずは1種目(できればスイム)から始めて、2〜3週間ごとに1種目ずつ追加していきます。一気に始めると体への負荷が大きすぎて、ケガや挫折の原因になります。
休息日を必ず作る。やる気に溢れている初期ほど、毎日練習したくなります。でも体は休んでいる間に強くなります。週に最低1日、できれば2日は完全休養日を設けましょう。
心拍数を測りながら練習する。最初のうちはペース感覚がないので、心拍数を目安にするのが有効です。心拍計付きの時計があると便利ですが、なければスマホアプリでも代用できます。息が上がりすぎたらペースを落とす、という感覚を早めに身につけましょう。スイム・バイク・ランすべてを記録できるGPSマルチスポーツウォッチがあると、練習の積み上げが数字で見えてモチベーションの維持にもつながります。

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人と比較しない。SNSを見ると速い人ばかり目に入りますが、全員最初は初心者でした。自分のペースで着実に積み上げていけばいいのです。
よくある質問
全く泳げません。それでも始められますか?
始められます。実際、顔を水につけるのが怖いレベルから始めて完走した人もいます。その場合はスイムスクールの超初心者クラスで、水に顔をつける・浮く・25m泳ぐ、と段階的に進めるのが安全です。スイムは時間がかかるぶん、いちばん早く取りかかるべき種目です。
年齢が高くても大丈夫ですか?
大丈夫です。エイジグループ(年代別)のレースには幅広い年代の方が出場しています。むしろ無理をしないぶん、計画的に準備できる年代の方が完走率は高い印象です。
自転車はロードバイクを買わないとダメ?
最初はママチャリで30分漕げれば出発点としては十分です。レースに向けてはロードバイクがあると楽で速いですが、いきなり高価なTTバイクを買う必要はありません。
どのくらいお金がかかりますか?
種目が3つあるぶん、他のスポーツよりは初期費用がかかります。加えて、私はグループレッスン(スイム+バイク・ラン)に月2.5万円ほどかけていました。これは必須ではありませんが、正しいフォームを最短で身につける投資としては価値があったと思います。ウェットスーツやシューズ、自転車など、何にいくらかかるかは別記事で詳しくまとめる予定です。
まとめ
- 運動未経験でもトライアスロンは完走できる。必要な体力の出発点は「25m泳げて、30分自転車に乗れて、5km走れる」程度
- 3種目の中でスイムを最優先で始めるべき。独学ではなくスクールに通ってフォームを教わることを強くおすすめする
- 準備期間は運動経験に応じて6か月〜1年半。焦らずじっくり準備しよう
- 年齢や過去の運動歴は言い訳にならない。運動歴ゼロの私自身が4か月でショートを完走できた
- 最初から完璧を目指さなくていい。制限時間内に完走できれば十分。速さは後からついてくる