レース当日の朝 — 起床からスタートまでのルーティン

結論:レース当日の朝はルーティン化が9割#

トライアスロンのレースは、号砲が鳴る前から始まっています。何時に起きるか、何を食べるか、会場でどう過ごすか。この「スタートまでの時間」の使い方が、レース全体のパフォーマンスに直結します。

私もレース当日の朝の過ごし方は、ほぼ完全にルーティン化しています。最初の頃はバタバタして焦ったり、朝食のタイミングを間違えて気持ち悪くなったりしました。その失敗を重ねて、今の形に落ち着きました。この記事では、起床からスタートの号砲までの流れを時系列で書いていきます。

起床時間の決め方#

スタート時間から逆算して、最低3時間前に起きるのが目安です。7時スタートなら4時起き。6時スタートなら3時起きになります。早すぎると思うかもしれませんが、朝食の消化時間、会場への移動、トランジションの準備を考えると、3時間はあっという間に過ぎます。

初心者がやりがちなのは「2時間前に起きれば十分だろう」と甘く見ることです。すると朝食を急いで詰め込み、会場でバタバタとトランジションを準備して、ウォームアップの時間がゼロ。スタートラインで既に焦りと不安でいっぱい——という事態になります。3時間前起床を守るだけで、朝の余裕がまったく違います。

IRONMANのように6時スタートの大会だと3時起きで、前日は早めに布団に入ります。正直に言うと、興奮と緊張で熟睡できることは少ないです。でも横になっているだけでも体は休まるので、眠れなくても焦らなくて大丈夫です。

朝食の内容とタイミング#

何を食べるか#

レース当日の朝食で大切なのは、消化が良くてエネルギーになる炭水化物を中心にすることです。私の定番はシンプルで、次のような流れにしています。

  • 起床後すぐ:おにぎり(塩むすびや梅干しなど消化しやすいもの)
  • スタート1時間前:バナナ1本
  • 飲み物:VAAM(ヴァーム)

おにぎりで主となるエネルギーを早めに入れておき、スタート1時間前のバナナで「すぐ使える糖質」を軽く補給する、という二段構えです。飲み物にはVAAM(ヴァーム)を使っています。食物繊維が多いもの、脂っこいもの、乳製品は避けます。レース中にお腹が痛くなるリスクがあるからです。

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ポイントは、毎レース同じものを食べること。新しいものを試して体に合わなかったら最悪です。練習やレースを通じて「この朝食なら大丈夫」という組み合わせを見つけておくのが理想です。補給全体の考え方はレース中の補給戦略も参考にしてください。

タイミングが重要#

メインのおにぎりは、スタートの2時間半〜3時間前(=起床直後)に食べ終えるのがベストです。消化に最低2時間は必要で、これより短いとスイムで気持ち悪くなる可能性があります。一方、1時間前のバナナのように軽く消化の良いものなら、直前の補給でも胃に負担になりにくいです。

逆に、おにぎりのような固形物をスタート直前に詰め込むと、スイムで胃がムカムカしてバイク前半まで引きずることがあります。「重いものは早めに、軽いものは直前に」と覚えておくと失敗しません。

会場到着後にやること#

到着のタイミング#

スタートの1時間30分〜2時間前には会場に着いておきたいです。受付がある場合は早めに済ませる必要がありますし、トランジションエリアが閉まる時間も決まっています。大会によってはトランジションクローズがスタート45分前ということもあるので、大会要項は事前に確認しておきましょう。

トランジションエリアの準備#

会場に着いたら、まずトランジションエリアへ。バイクラックに自分のバイクがあるか確認し、以下の最終チェックをします。

  • タイヤの空気圧(前日に入れていても一晩で少し抜けています)
  • ブレーキの効き
  • 変速の動作確認
  • バイクシューズ、ヘルメット、サングラスの配置
  • ランシューズ、ゼッケンベルト、補給食の配置

私はヘルメットのストラップをドロップハンドルに引っ掛けておきます。こうすると、バイクを取ってそのままかぶれて時短になります。トランジションの時短テクニックはトランジションの記事に詳しくまとめました。

また、トランジションの配置は写真に撮っておくと安心です。レース中、疲れた状態で戻ってきたときに「あれどこに置いたっけ」とならずに済みます。持ち物リストも合わせてどうぞ。

受付とボディマーキング#

ゼッケン番号を腕や脹脛にマーキングしてもらう大会が多いです。当日受付の大会では早めに済ませておきましょう。列が混むと焦る原因になります。なお、私はゼッケンベルトをスイムのときからウェットスーツの下に着けておき、T1での装着の手間をなくしています。

ウォームアップの方法#

トランジションの準備が終わったら、体を動かす時間です。スタート40〜60分前くらいからウォームアップを始めます。

軽いジョグとストレッチ#

まず5〜10分の軽いジョグ。心拍数を少し上げて体を目覚めさせます。その後、動的ストレッチを中心に肩、股関節、ハムストリングを伸ばします。静的ストレッチよりも、腕回しやレッグスイングのような動的な動きの方がレース前には適しています。

試泳(可能な場合)#

大会によってはスタート前に試泳時間が設けられています。これは絶対に利用すべきです。水温を確認できますし、ウェットスーツの感触を確かめられます。何より、冷たい水に顔をつけたときのショックをスタート前に経験しておくことで、本番でのパニックを防げます。

私は試泳で50〜100mほど軽く泳ぎ、呼吸のリズムとヘッドアップの感覚を確認します。そして仰向けに浮いて、ウェットスーツの浮力を体に思い出させます。この30秒が、スタート後の精神的な余裕を大きく変えます。OWSの不安についてはOWSが怖い人へに詳しく書きました。

スタート前の待ち時間の過ごし方#

ウォームアップが終わると、スタートまで15〜30分ほど待ちます。この時間が、レースで最も緊張する瞬間かもしれません。

緊張との向き合い方#

緊張するのは当たり前です。私も何十回レースに出ても、スタート前は毎回緊張します。手が冷たくなるし、トイレに行きたくなります。でも、この緊張はパフォーマンスを上げるための体の反応でもあります。「緊張=悪いこと」ではありません。

私がスタート前にやっているのは、頭の中でレースをシミュレーションすることです。スイムのスタート位置取りから、最初の200mをどう落ち着いて入るか。T1でウェットスーツをどう脱ぐか。バイクは前半を抑えて後半に上げる。T2を経て、ランの最初の1kmでどうペースを作るか——レース全体を一通り、頭の中で「予行演習」します。

こうして具体的な手順を順番にイメージしていくと、漠然とした不安が「やるべきことの段取り」に変わります。何が起きるか分からないから怖いのであって、流れを先に体験しておけば落ち着けます。初レースの目標設定で計画を立てておくと、このシミュレーションの解像度が上がります。

やってはいけないこと#

スタート前にSNSを見るのはおすすめしません。他の選手の「準備万端!」という投稿を見ると、余計に不安になります。音楽を聴いてリラックスするか、一緒に参加している仲間と軽く話すくらいがちょうどいいです。

ルーティン化のすすめ#

レース当日の朝のルーティンを固定することを強くおすすめします。朝食のメニューも、トランジションの配置順序も、ウォームアップのやり方も、毎回同じにしておきます。

ルーティンがあると、「あれやったっけ?」という不安が消え、脳のリソースをレースそのものに集中させられます。初レースでは全てが初めてなので難しいかもしれませんが、2レース目、3レース目と回を重ねるうちに「自分の型」が出来上がっていきます。

2レース目の朝、前回と同じ手順で準備を進めると、初レースとは比べものにならないくらい落ち着けます。「前回もこれで大丈夫だった」という経験が、最大の安心材料になります。ルーティンとは、過去の自分が未来の自分に送る「大丈夫だよ」というメッセージなのだと思います。

よくある質問#

Q. 前夜に眠れなかったら走らない方がいい?

一晩眠れなくてもパフォーマンスへの影響は限定的です。むしろ「眠れないと不安だ」という心理の方が問題になります。横になって体を休めれば十分です。大事なのは前夜ではなく、レースまでの数日間しっかり睡眠を取っておくことです。

Q. 朝、食欲がないときはどうする?

緊張で食欲がない朝はよくあります。固形物が入らなければ、バナナやゼリー飲料、スポーツドリンクなど液体・半固形でカロリーを補ってください。何も入れないとスタミナ切れになるので、少量でも糖質を入れておくことが大事です。

Q. トイレが近くて不安です。

緊張すると誰でもトイレが近くなります。会場のトイレは混むので、スタート45分前くらいまでに余裕を持って済ませておきましょう。利尿作用のあるカフェインを朝に大量摂取しないのも一つの手です。

Q. 何を持っていけば忘れ物しない?

前日に持ち物リストを作ってチェックするのが確実です。ゼッケン、ウェットスーツ、ゴーグル、ヘルメット、シューズ、補給食は必須。詳しくは持ち物リストにまとめています。

まとめ#

  • スタート3時間前に起床が基本。7時スタートなら4時起き。眠れなくても横になっているだけで体は休まる
  • 朝食はおにぎり、バナナ、カステラなど消化の良い炭水化物を中心に、スタート2時間以上前に食べ終える
  • 会場にはスタート1時間30分〜2時間前に到着し、トランジションの最終確認と空気圧チェックを済ませる
  • 試泳の時間があれば必ず利用する。水温確認とウェットスーツの浮力を体に思い出させることが目的
  • レース当日の朝のルーティンを固定することで、緊張を最小限に抑え、レースに集中できる状態を作れる
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