トライアスロンのランで使うシューズの選び方 — 紐なし?厚底?
結論:まずロックレースに替えてください
トライアスロン初心者がランシューズで最初にやるべきことは、靴紐をロックレースに交換することです。500円程度の投資で、T2(バイク→ランのトランジション)が確実に速くなります。厚底シューズを買うよりも、素足で走れるシューズを買うよりも、まずロックレースです。これだけは断言できます。
ランはバイクと違い、専用シューズは存在しない
バイクパートにはトライアスロン専用シューズがあります。BOAダイヤルやベルクロで素早く着脱できる設計です。でもランパートには「トライアスロン専用ランニングシューズ」という独立したカテゴリはほとんど存在しません。
使うのは普通のランニングシューズです。ただし、トライアスロンで使うには「どう準備するか」がポイントになります。最大の特徴は「素足で履く可能性がある」ことと「濡れた足で履く」こと、そして「脱ぎ履きの速さ」が求められることです。
スイムの後、バイクの後と、2回のトランジションを経てランパートに入ります。T2では1秒でも速くトランジションを済ませたいです。靴紐を結ぶ時間は、レースの中ではかなりの無駄になります。さらに、バイク中にペットボトルの水を頭からかぶったり、足に水をかけて冷やしたりするので、ランシューズを履く時点で足が濡れていることが多いです。
だから、ランシューズを選ぶときは「いかに速く履けるか」「濡れた状態でも快適か」が重要な基準になります。もちろんフィット感やクッション性も大事ですが、タイムロスを減らすという視点が加わるのがトライアスロン特有のポイントです。

時短テクニック1:ロックレースで30秒を削り出す
まず最初にやるべきことは、靴紐をロックレース(ゴム紐、スピードレースとも呼ばれる)に交換することです。これだけでT2のタイムが30秒は縮まります。紐を結ぶ動作がなくなって、足を入れるだけで走り出せます。
私は最初のレースからロックレースを使っていたので、幸いこの苦労を経験したことはありません。でも周りのビギナー選手を見ていると、T2でシューズの紐と格闘している場面は毎回見かけます。焦れば焦るほどうまくいかなくて、その間に何人も追い抜かれていく。本当にもったいないです。
ロックレースは500円から800円程度で手に入ります。取り付けも簡単で、既存の靴紐を抜いてロックレースを通すだけです。10分もあれば交換できます。締め具合の調整はストッパーで行うので、レース前に一度調整しておけば当日は足を入れるだけでいいです。
私がずっと愛用していたのは Greeper Laces(グリーパーレース) です。残念ながら現在は廃番になってしまいましたが、当時のレースでは欠かせない存在でした。他のロックレースでも機能としては代用できますが、なくなってしまったのは今でも残念です。
ひとつ注意点として、ビーズ式のロックレース(Caterpyなど)はおすすめしません。締め付け調整がストッパーではなくビーズで行う仕組みのため、足に合わせた細かいフィット感の調整ができません。私には合いませんでした。
取り付けのコツとしては、少しだけ緩めにセットすること。足を入れやすくするためです。走っていて緩く感じることはほとんどないし、多少ルーズでもゴム紐が足に沿ってフィットしてくれます。
個人的には、トライアスロンの機材投資の中で、ロックレースが最もコスパが高いです。数百円の投資で確実に速くなるアイテムは他にありません。高級なエアロヘルメットを買うより先に、まずロックレースを買うべきです。
厚底シューズの功罪
ここ数年、ランニング界で厚底シューズが主流になっています。カーボンプレート入りの厚底シューズは反発力が高く、ランのタイムを大幅に改善してくれます。トライアスロンでも厚底シューズを履く選手は増えています。
バイク後のランにおいて厚底シューズのメリットは大きいです。40kmバイクを漕いだ後の疲れた足に、厚いクッションは単純にありがたいです。着地衝撃が吸収されることで、足のダメージを軽減してくれます。特に後半5km以降、足が限界に近づいた時のクッション性は精神的にも助かります。
一方でデメリットもあります。厚底シューズはソールが厚い分、足首が不安定になりやすいです。バイク後の膝がガクガクした状態で厚底を履くと、コーナーや路面の凹凸で足をひねるリスクが高まります。特にバイク後のランは感覚が鈍くなっているので、普段より慎重に走る必要があります。
個人的には、初心者がトライアスロンで厚底シューズを使うかどうかは、普段の練習でどれだけ厚底に慣れているかで判断すべきだと思います。普段から厚底で走っていて、安定感に問題がないならレースでも使えばいいです。でも普段は薄底で練習していて、レースだけ厚底にするのはリスクが高いです。特にバイク後の不安定な足で、慣れないシューズを履くのは避けた方がいいです。
バイク後のランに慣れるブリックトレーニングを普段からやっておくと、この不安定感もある程度克服できます。
靴下を履くか履かないか問題
トライアスロン界隈で永遠に議論されているのが、ランで靴下を履くか履かないかという問題です。
靴下を履くメリットは明確で、マメができにくいです。特に10km以上走る場合、素足でシューズを履くと摩擦でマメや水ぶくれができる可能性があります。また、小石や砂がシューズに入った時の不快感が軽減されます。
靴下を履かないメリットも明確で、T2のタイム短縮になります。靴下を履く動作は、特に足が濡れている状態だと意外と時間がかかります。15秒から20秒はロスします。さらに、濡れた足に靴下を履くのは気持ちが悪いです。
私はスプリントやオリンピックディスタンスでは靴下なしで走っています。素足で快適に走れるようにするために、練習で素足のまま短距離を走ることで足の皮を厚くしておくのが重要です。週に一度くらい裸足に近い状態で走っておくと、本番でも問題なく走れます。
ただし10kmを超えるランになると、5km地点あたりから足の裏にヒリヒリ感が出てくることがあります。ミドル以上の距離になると靴下を履いた方が安全です。事前にシューズと素足の相性を確認しておくことが大事で、練習で一度素足で5km走ってみて、マメができるようなら靴下ありにすべきです。
もう一つの手として、シューズの内側にワセリンを塗る方法があります。摩擦を減らしてマメを防いでくれるので、靴下なしで走る場合の保険になります。私はレース前に足の指の間とかかと周りにワセリンを薄く塗るようにしています。
シューズ選びの具体的なポイント
実際にシューズを選ぶとき、何を基準にすればいいかを優先順位の高い順に挙げます。
| 優先順位 | チェックポイント | 理由 |
|---|---|---|
| 1位 | フィット感(つま先1cm余裕、足幅圧迫なし) | バイク後は足がむくむ。気持ち大きめが安心 |
| 2位 | 通気性(メッシュ素材アッパー) | 濡れた足でも走るうちに乾く |
| 3位 | ソールの排水性 | 水が溜まったシューズは重く、マメの原因になる |
| 4位 | 脱ぎ履きのしやすさ(プルタブ・シュータン) | T2でスムーズに足を入れられる |
特定のブランドやモデルは好みの問題が大きいので個別推奨はしませんが、この4点を重視すれば大きく外すことはありません。トランジションの全体的な準備については別記事でまとめています。
参考として、国内トライアスリートにもよく使われているシューズをひとつ挙げておきます。ASICSのLYTERACERシリーズは軽量かつメッシュ素材のアッパーで通気性もよく、トライアスロンの条件に合った一足です。

asics(アシックス) メンズ LYTERACER 4ラン...
ソールの厚さ:2.5cm
よくある質問
Q. トライアスロン専用シューズは必要ですか?
専用シューズがなくても、普通のランニングシューズにロックレースを付けるだけで十分です。トライアスロン専用シューズは通気性や排水性が最適化されていますが、初心者のうちは今持っているシューズに靴紐対策をするだけで問題ありません。
Q. ロックレースは走っているうちに緩くなりませんか?
適切に取り付けてストッパーで調整しておけば、レース中に緩くなることはほとんどありません。気になる場合は練習で一度試してから本番に臨んでください。ビーズ式より、ストッパー式のタイプを選ぶと調整しやすいです。
Q. 厚底シューズはロングレースにも向いていますか?
ロングレースこそ厚底のクッション性が活きます。ただし、普段から厚底に慣れていることが前提です。IRONMAN距離のランは42.2kmですが、バイク後の疲弊した状態で慣れないシューズを履くのはリスクが高いです。普段の練習で使い込んでから本番に持ち込んでください。
Q. マメ対策はワセリンだけで大丈夫ですか?
ワセリンは有効ですが、根本的には足の皮を鍛えることと、シューズとの相性確認が大事です。練習でシューズを履き込み、素足で走る機会を作って足の皮膚を鍛えておくと、ワセリンなしでも走れるようになります。
まとめ
- トライアスロンのランシューズは「素足で履ける」「濡れた足で履ける」「速く履ける」が普通のランシューズとの違い
- ロックレース(ゴム紐)への交換は数百円で確実にT2が速くなる最強コスパの投資。迷わず最初にやるべき
- ビーズ式(Caterpy等)は締め付け調整が難しいので、ストッパー式のロックレースを選ぶ
- 厚底シューズはバイク後の疲れた足に優しいが、不安定になるリスクもある。普段から履き慣れているかどうかで判断する
- 靴下問題はオリンピックディスタンスなら靴下なしでも対応可能。事前に素足で練習して足との相性を確認しておく
- シューズ選びはフィット感、通気性、排水性、脱ぎ履きのしやすさの順で優先。ワセリンを塗るテクニックも覚えておくと役立つ