バイク後のランが別競技な件 — ブリックランの衝撃と慣れ方
結論:バイク後のランは「別競技」だと思っておく
トライアスロンのランパートは、普通のランニングとはまったくの別物です。どれだけマラソン経験があっても、バイクを漕いだ直後に走り出すと「自分の足じゃない」という感覚に襲われます。正直に言うと、バイクの後のランは身体が別人になったように感じます……。
この感覚はほぼ全員に共通します。だからこそ、原因を理解して、ブリックトレーニングで慣れておくことが大切です。この記事では、バイク後のランで何が起きるのか、どう慣らすのかを解説します。
バイクを降りた瞬間、足が消える
具体的に何が起きるかというと、まず膝がガクガクします。バイクでペダルを回す動作とランニングでは使う筋肉のバランスが違うので、降りた直後は関節が不安定になります。
次に、心拍数が異常に高いです。バイクである程度追い込んだ状態からランに移行するので、走り出しの心拍はすでにかなりの数値になっています。なのに実際のペースは練習よりずっと遅い。GPS時計を見て「嘘だろ」と思うのは、トライアスリートの通過儀礼みたいなものです。心拍とペースを同時に確認できるトライアスロン対応のGPSウォッチがあると、こうした状態を客観的に把握できます。

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そして何より、ペース感覚が完全にバグります。自分ではいいペースで走っている気がするのに、実際はジョギングより遅い。逆に、ゆっくり走っているつもりでも心拍は高いまま。身体のセンサーが全部狂っている感じです。
私の感覚:最初の1kmが重く、1.5kmで戻る
私の場合、バイク後のランは最初の1kmが鉛のように重いです。太ももが自分のものでないような感覚で、ペースも上がりません。でも、1.5kmあたりまで我慢して進むと、いつもの調子に戻ってきます。ペダリングの動作から走る動作へ、身体がようやく切り替わる感覚です。
初レースのT2(バイク→ランのトランジション)を出た瞬間のことは、今でも覚えています。周りの選手も似たような走り方をしていて、T2の出口付近はみんな足取りが重い。「これがトライアスロンのランか」と身をもって理解しました。
大事なのは、この「最初だけ重い」を知っておくことです。知らないと、走り出しの重さに「今日は調子が悪いのでは」と焦ってしまいます。知っていれば、「1.5kmまでの辛抱だ」と冷静に対処できます。初レースの目安タイムについては初レースの目標タイムの決め方も参考にしてください。
ブリックトレーニングとは何か
この「バイク後の足が動かない」現象に対する最も有効な対策がブリックトレーニングです。名前の由来は諸説あり、「Bike + Run = Brick」とも、バイク後の足がレンガ(brick)のように重いからとも言われます。どちらにしろ言い得て妙です。
やり方はシンプルで、バイクに乗った後、すぐにランニングをする。それだけです。
具体的なメニューとしては、バイクを30分から60分漕いだ後に、15分から30分走ります。距離ではなく時間で管理する方が気が楽です。ペースは気にしなくていいです。大事なのは「バイク後に走る」という動作の切り替えに身体を慣らすことです。
週1回で十分効果があります。ローラー台(固定式のバイクトレーナー)を回してから、そのまま外に出てジョグするメニューが手軽です。ローラー台がなければ、近所を自転車で走ってから公園でランニングするだけでもいいです。詳しいやり方はブリックトレーニングの記事にまとめています。

ローラー台があると天候に左右されずブリック練習ができます。私が使ってきたTacxのスマートトレーナーは、Zwiftなどのアプリと連動して負荷も自動で変わるので、室内バイクが一気に楽しくなります。

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注意点として、ブリックの日は強度を上げすぎないことです。バイクもランもEasyペースでいいです。目的は「動きの切り替えに慣れる」ことであって、体力を追い込むことではありません。特にバイクで追い込みすぎると、ランが走れなくなって練習になりません。
慣れるまでの期間と感覚の変化
個人差はありますが、ブリックトレーニングを数回繰り返すと、明らかに切り替えが速くなります。最初はT2を再現したような足の重さでも、回を重ねるごとに「切り替わるまでの時間が短くなっている」と感じられるようになります。
何度かこなすうちに、バイク後のランが特別なものではなくなります。もちろん練習単体のランより遅いのは変わりませんが、「別競技」という感覚は薄れて、「ちょっと疲れた状態でのラン」くらいの認識になります。
初レースまでに、最低でも数回はブリックトレーニングをやっておきたいところです。週1回なら2ヶ月もあれば十分慣れます。
レースで使える実践テクニック
ブリックトレーニングで身体を慣らすことに加えて、レース当日に使えるテクニックがいくつかあります。
バイク最後の数kmでギアを軽くする
バイクの最後の数kmでギアを軽くして、ケイデンス(回転数)を上げておきます。重いギアを踏み続けた状態からランに入ると足が重くなりやすいです。軽いギアで高回転ペダリングに切り替えると、ランへの移行がスムーズになります。目安としてはケイデンス90rpm以上を意識します。
最初の1kmは意図的にゆっくり
T2を出てからの最初の1kmは、意図的にゆっくり走ります。ここで飛ばすと後半に確実に潰れます。最初の1kmを少し遅く入っても、トータルのランタイムはほぼ変わらないか、むしろ速くなることが多いです。周りの選手が飛ばしていくのを見ると焦りますが、後半に抜き返すことになるので問題ありません。
「遅くて当たり前」と割り切る
精神的な話ですが、「バイク後のランは遅くて当たり前」という認識を持っておくことが大事です。練習のランタイムと比べて落ち込む必要はまったくありません。トライアスロンのランは、バイクを漕いだ後に走るという条件付きの競技です。それを前提にしたペース設定をしておくと、レース中に焦らなくて済みます。
シューズ選びでもT2を速くする工夫があります。トライアスロンのランで使うシューズの選び方も合わせてどうぞ。
よくある質問
Q. バイク後に足がつりそうになります。対策は?
スイム・バイクで電解質が不足していると、ランで足がつりやすくなります。バイクパートでスポーツドリンクや塩分を補給しておくと予防になります。また、バイク終盤でケイデンスを上げて筋肉をほぐしておくのも有効です。
Q. ブリックは毎回バイクを長く乗る必要がありますか?
いいえ。切り替えの練習が目的なので、バイクは30〜60分でも十分です。むしろ短時間でも「バイク直後に走る」回数を増やす方が、身体の適応が進みます。
Q. ランが遅すぎて心が折れそうです。
最初は誰でもそうです。練習単体のランタイムと比べないこと。バイク後のランは別物だと割り切れば、気持ちが楽になります。回数を重ねれば必ず慣れます。
Q. トレッドミルでもブリックの練習になりますか?
なります。ローラー台の後にトレッドミルで走れば、天候に左右されず切り替えの練習ができます。屋内で完結するので、忙しい人にはむしろ続けやすい方法です。
まとめ
- バイク後のランでは足が重い、膝がガクガクする、心拍が異常に高い、ペース感覚がズレるという現象が起きる。これはほぼ全員に共通する
- 私の場合は最初の1kmが重く、1.5kmあたりでいつもの調子に戻る。「最初だけ重い」と知っておくと焦らない
- ブリックトレーニング(バイク→即ラン)を週1回やるだけで、身体の切り替えが格段にスムーズになる
- バイク最後の数kmでギアを軽くして高回転にすると、ランへの移行が楽になる
- 初レースのランは練習より確実に遅くなる。最初の1kmはゆっくり入ると割り切るのが最も賢い戦略