社会人トライアスリートの時間の作り方
結論:週5〜8時間あれば初心者は十分
トライアスロンを始めようとすると、真っ先にぶつかるのが「時間がない」という壁です。スイム、バイク、ラン。3種目もあるのだから、単純にマラソンの3倍の練習時間が必要に思えます。フルタイムで働いている社会人には無理なんじゃないか、と。
結論から言うと、週5〜8時間あれば初心者としては十分な練習ができます。1日平均で45分〜1時間ちょっと。これなら現実的だと思わないでしょうか。
私もITエンジニアとしてフルタイムで働きながらトライアスロンを続けています。最初は時間のやりくりに苦労しましたが、試行錯誤の結果、自分なりのリズムを見つけました。完璧な練習なんてできません。でも、完璧じゃなくてもレースは完走できます。
時間捻出の具体的な方法
朝練(早起き)
私がちゃんと競技に取り組んでいた時期、最も効果的だったのが朝練です。出勤前の時間は自分だけのもので、誰にも邪魔されません。残業で帰りが遅くなっても、朝練なら確実に時間が確保できます。
私が意識していたのは、朝のグループレッスンを「固定の予定」として先に入れてしまうことです。スイムスクールやランの朝練会など、決まった時間・場所のレッスンを予約しておけば、当日は何も考えずにただ行くだけ。「今日は練習するか、しないか」と毎朝悩む余地をなくしてしまうのです。意志の力に頼らず、習慣と仕組みでトレーニングが回るようにしておくのがコツでした。
前夜にウェアを枕元に準備しておくのも有効です。目覚ましが鳴ったときに「着替えどこだっけ」と探し始めると、そのままベッドに戻ってしまいます。冬場は暖房のタイマーをセットしておくと、起きるハードルが下がります。
朝の時間帯はランかバイクローラー(室内トレーナー)に充てます。40〜60分走るか、ローラー台で45分漕ぐ。シャワーを浴びて朝食を食べても、出勤時間に間に合います。
昼休みスイム
職場の近くにプールがあるなら、昼休みにスイムを入れるのは非常に効率がいいです。泳げるのは実質30〜40分ですが、スイムの練習としてはこれで十分です。
最初は「昼休みに泳ぐなんて」と思われるかもしれませんが、実際やってみると午後の仕事の効率が上がります。頭がリフレッシュされるのです。短時間で質を上げるには、ただ泳ぐよりドリル中心にするのがおすすめです。
ただし、髪が乾ききらないまま午後の会議に出ると指摘されることがあるので注意。速乾性の高いタオルは必須アイテムです。
通勤・移動を練習にする
私は、通勤や移動はできるだけ自転車かランにするようにしていました。通勤ランは「練習時間ゼロ」で走行距離を稼げる、魔法のような方法です。
おすすめは「片道だけ走る」やり方です。私は職場が6kmほど先にあった時期、朝は電車で出勤して、帰りはランで帰るというパターンをよく使っていました。朝から汗だくにならずに済みますし、帰りなら時間を気にせず走れます。荷物は前日に会社に置いておくか、バックパックに入れて走ります。往復を全部走らず、片道を走るだけでも週に何回か重ねれば、かなりの距離になります。
最寄り駅まで走る、一駅手前で降りて走る、といった工夫も同じ発想です。日常の移動そのものを練習に変えてしまえば、「練習のためだけの時間」を別途確保する必要が減ります。
週末ロングライド・ロングラン
平日に時間を作れなくても、週末にまとまった時間が取れるならそこを活用します。土曜の朝にロングバイク(2〜3時間)、日曜の朝にロングラン(1〜1.5時間)。これだけで週の練習量のかなりの部分をカバーできます。
週末ロングの良いところは、レース本番に近い強度と時間で練習できること。平日の40分のジョグでは得られない持久力が、週末の2時間のバイクで鍛えられます。
週間スケジュール例
初心者向けの現実的な週間スケジュールを紹介します。合計で週6〜8時間程度です。
| 曜日 | 種目 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 月 | スイム | 昼休みプール。ドリル+距離泳 | 40分 |
| 火 | ラン | 朝練。ジョギング〜ペース走 | 45分 |
| 水 | 休み | 完全休養。ストレッチ程度 | - |
| 木 | バイク | 朝練。ローラー台 | 45分 |
| 金 | スイム | 昼休みプール。インターバル練習 | 40分 |
| 土 | バイク | ロングライド | 2〜3時間 |
| 日 | ラン or 休み | ロングジョグまたは休養 | 1〜1.5時間 |
これはあくまで理想形であって、毎週この通りにできる必要はありません。水曜の休みが木曜にずれることもあるし、週末に予定が入って練習できないこともあります。大事なのは、「週にスイム2回、バイク2回、ラン2回」を目安にしつつ、できない日があっても自分を責めないことです。練習計画はカレンダーに落とし込んでおくと、実行率が上がります。
練習できない日のメンタルマネジメント
社会人トライアスリートにとって、最大の敵は「練習できなかった罪悪感」だと思っています。
残業が続いた週、飲み会が重なった週、体調を崩した週。計画通りに練習できない日は必ず来ます。そんなときに「また練習をサボってしまった」と自分を責め始めると、モチベーションが一気に下がります。そしてそのまま練習から離れてしまう人を何人も見てきました。
でも、断言します。ちゃんとトレーニングを積んでいれば、2週間のブランクはほぼ影響ありません。気持ち的には「2週間も空けたらすごく落ち込む」というイメージがあるかもしれませんが、実際にはそんなことはないんです。むしろ、トライアスロンをやっている人は普段から少しオーバートレーニング気味なことが多いので、2週間あけるとちょうどフルリカバリーして、かえって体が軽くなるくらいの感覚です。
以前どこかのサイトで見たリサーチでは、パフォーマンスが急激に落ち始めるのは3週間後あたりからでした。つまり2週間程度のブランクは、体力の貯金で十分カバーできる範囲ということです。大事なのは「やめないこと」であって、「毎日やること」ではありません。トライアスロンは生涯スポーツです。1〜2週間の空白なんて、長い目で見れば誤差でしかありません。
練習できないときは、休む時期だと思えばいいんです。体は勝手に回復してくれます。罪悪感より、また再開する気持ちの方がずっと大事です。
仕事が忙しい時期の最低限維持メニュー
どうしても忙しい時期は、最低限の練習に切り替えます。目標は「体力を落とさない」こと。向上ではなく維持で十分です。
最低限メニュー(週3回、合計2〜3時間)
- 週1回スイム: 30分でもいいからプールに行く。水の感覚を忘れないことが大事
- 週1回ラン: 30〜40分のジョグ。ペースは気にしない
- 週1回バイク: ローラー台で30〜40分。実走できなくても室内で回すだけで違う
週3回、1回30〜40分。これなら1週間の中でなんとか時間を作れるはずです。もしこれすら難しい時期は、週1〜2回でもいいです。「ゼロにしない」ことが最重要です。
経験上、週3回の維持メニューを1ヶ月続けた後に通常の練習に戻しても、パフォーマンスの低下はほとんど感じません。逆に、完全に休んでしまった後の再開は体が重くてつらいです。少しでも動いておくことの効果は想像以上に大きいです。
練習効率を上げるための工夫
限られた時間の中で効果を最大化するために、いくつかの工夫を紹介します。
バイクローラー台は最高の時短ツール。外を走ると信号待ちや準備で時間をロスしますが、ローラー台なら着替えてまたがるだけで練習開始です。40分のローラー台は、外走り1時間分に匹敵する練習効率があります。Zwiftなどのアプリで仲間と一緒に走れば退屈しません。初期投資はかかりますが、時間あたりの練習効果を考えれば十分元が取れます。

私が使っているのはTacx NEOシリーズのスマートトレーナーです。静音性が高く、Zwiftと連動して坂道では負荷が自動で重くなるので、室内でも実走に近い練習ができます。

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ブリックトレーニング。バイクの直後にランを行うトレーニングで、トランジションの脚の切り替えを練習できます。週末にバイク1時間+ラン30分のブリックをやれば、2種目を一度にカバーできて効率が良いです。
データで管理する。限られた時間を無駄にしないために、intervals.icuなどで負荷とコンディションを記録すると、「今日は追い込む日か、流す日か」の判断がしやすくなります。なんとなく練習するより、ずっと効率が上がります。
ちなみに私は、トレーニングを兼ねてUber Eatsの配達をしていた時期もあります。バイクやランの移動そのものを「ながら練習」にしてしまうのも、社会人ならではの時間活用術です。
よくある質問
Q. 1日30分しか取れません。それでも意味はありますか?
十分意味があります。毎日30分でも週3.5時間。種目を日替わりにすれば、3種目をバランスよく回せます。「短くてもゼロにしない」ことが、長期的には最も効きます。
Q. 朝型ではないので朝練が続きません。
無理に朝にこだわる必要はありません。昼休みや帰宅後、自分が確実に時間を取れる枠に固定するのが大事です。ローラー台なら夜でも天候を気にせず回せます。自分の生活リズムに合う「練習の定位置」を見つけてください。
Q. 家族がいて週末にまとまった時間が取れません。
平日の朝練やローラー台で細切れに積み上げる方針に切り替えましょう。週末ロングが取れなくても、平日の積み重ねでODまでは十分対応できます。家族と過ごす時間を大切にしながら続けるには、無理に長時間練習を確保しようとしないことがコツです。
Q. ジムやプールの会費がもったいない気がします。
利用頻度が低いなら、都度払いの公共プールやローラー台中心に切り替える手があります。ローラー台は初期投資こそかかりますが、移動時間ゼロで天候にも左右されず、長期的にはコスパが高いです。
まとめ
- 初心者なら週5〜8時間、1日平均45分〜1時間程度の練習で十分。フルタイムで働きながらでも確保できる
- 朝練、昼休みスイム、通勤ランなど、生活の中に練習を組み込む工夫が鍵。特に朝練は最も確実な時間確保の手段
- 練習できない日の罪悪感に負けないこと。完璧を求めると続かない。週3回でもレースは完走できる
- 忙しい時期は「維持メニュー」に切り替えて、ゼロにしないことを最優先にする
- ローラー台やブリックトレーニング、データ管理を活用して、限られた時間の中で練習効率を最大化しよう